2008年11月12日水曜日

東京東部から病院が消えていく 看護師不足が招く経営危機

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ツイてる抗加齢(アンチエイジング)実践家てるです。
毎日毎日、多くのステキなことがあり、感謝しています。


東京でも医療崩壊が加速しているようです。
厚生労働省の「不作為の罪」が元凶で、医療崩壊は結果として
私達国民にシワ寄せがきますが、予防に勝る治療なしで、
私のようにきちんと健康管理をすれば歯科、怪我、検診以外では
20年以上医療機関にかからずに絶好調で暮らせるわけで、病気予防は簡単です。

私は、人生の3大不安である健康、貧乏、孤立を解消する支援活動を
ライフワークとしており、さらに多くの人のお役に立てると思います。


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東京都葛飾区で民間病院が次々と姿を消している

2006年7月末に128床の療養型病院が入院病棟を閉鎖して無床診療所に切り替えたのを皮切りに、07年には99床の一般病院が突如、廃院に。さらに今年9月30日には52床の病院が病棟を閉鎖し、外来のみの診療所に規模を縮小した。

これら三つの病院のうち、後の二つの病院が建物を構えていたのが、JR総武線新小岩駅北口地区だ。両病院は至近距離にあり、昨年に廃院となった病院は解体工事を終えて、マンションの建設用地に。9月末に病棟を閉じた病院では2階から上の窓にカーテンが引かれ、現在は1階の外来受付のみに規模を縮小している。

追い出された入院患者 スタッフ不足が致命傷に

看護師として後者の病院に勤務していた山本千秋さん(仮名)は、病棟閉鎖による大混乱が今も脳裏から離れない。

「こんなことは二度とごめんです。患者や家族がかわいそうです」

病棟閉鎖の方針が職員に伝えられたのは9月15日午前9時前。業務開始前の朝礼で、院長から簡単な事実経緯が伝えられ、直後に職員は持ち場へと散っていった。病院が修羅場と化したのは、そのときからだった。

「9月末までに入院患者全員を転院または自宅に帰すこと」

このとき、山本さんは業務命令を受けて、入院患者の家族と面談。病院の方針を徹底させる役目を担わされた。自宅に帰すことができる人は自宅へ帰ってもらう。そして都内や千葉県の病院に片っ端から電話をかけて引き取りを要請。患者の状態を説明したファクス送信状は、優に100枚を超えた。

「ファクスを送って返事を待ちますが、多くは連絡もありませんでした。最終的には9月30日までに全員を何とか振り分けましたが、高齢患者の長期入院は受けたくないという病院が多く、非常に難儀しました」(山本さん)。

山本さんが「二度とごめんだ」と思った理由はほかにもある。「請われてこの病院に来て以降の1年半にわたる努力が、すべて水の泡になったからです」(同)。

救急医療の経験が長い山本さんは、昨年4月にこの病院に来て、あぜんとしたという。常勤医師が院長を含む2人しかおらず、ほかの医師6人は非常勤だった。また、看護師も不足が著しく、国が定めた人員の最低配置基準すら満たしていなかった。

院内感染防止マニュアルの整備など、病院に義務づけられている取り組みの多くも行われておらず、「このままでは監督官庁から業務停止に追い込まれるのではないか」と山本さんは心配した。

そして、看護師確保に奔走する一方、病院として最低限必要なマニュアルの整備に取り組むなど、1年半にわたって懸命に働き続けてきた。ところが、その努力もむなしい突然の病棟閉鎖だった。

とはいえ、脱力感を感じる暇もなく、患者を退院させる作業に奔走。家族との折衝など、2週間にわたる修羅場をくぐった後、山本さんは病院を去った。

院長の経営努力の不足など、病棟閉鎖に至ったことが自業自得だった感は否めない。だが、病院が成り立たなくなったのはそれだけが理由ではないと山本さんは感じている。

「昨年12月から看護師の募集に動き出し、各地の看護学校に100通近い求人の書類を出したものの、どこからも返事がなかった。今まで働いてきた中でこんなことは初めてでした」(山本さん)。

看護師募集の時期も悪かった。看護学校を卒業した学生は、国家試験合格直後の4月に就職する。多くの病院は早期の獲得を狙って、6月ごろには翌年度の新卒者の獲得に動き出す。ところが、山本さんは半年にわたってマニュアル整備に追われ、看護師確保の時期を逸してしまった。しかし、たくさん求人書類を送ったのに、一つの連絡すらないというのも異常だ。

実はこの時期、多くの病院が看護師の確保に苦慮していた。一般に賃金や有給休暇で見劣りする中小民間病院は、看護師の流出や採用難に直面。条件のいい大学病院や国立病院に看護師が集中する現象が起きていた。

06年度の診療報酬改定で、入院収入(=入院基本料)の前提となる看護師の配置基準が改正され、最も手厚い配置基準として「7対1」入院基本料が創設されたことがきっかけだった。7対1とは、平均して入院患者7人に対し看護職員1人が実際に勤務していることをいう。従来は10対1が最高レベルだったが、7対1の診療報酬ではそれを大きく上回る点数が付けられた。

そうしたことから、東京大学附属病院など急性期の入院患者が多い有力病院が、診療報酬点数の高い7対1基準での入院基本料算定を目指して数百人規模の看護師獲得に乗り出した。獲得競争のすさまじさは「看護師争奪戦」と形容され、特に中小病院が引き抜きや新規採用難で大きな打撃を受けた。

民間病院を追い込む看護師不足問題

「当院もその影響を受けたことは間違いない。特に2人夜勤体制が義務づけられ、それが守れないと基準看護料(15対1)以下の入院基本料しか得られないルールの導入は致命的でした。赤字が大幅に拡大した。そこから何とか抜け出そうと努力してきたのですが、看護師が集まらず、何の成果もありませんでした」(山本さん)。

下表は、医療法人財団健和会(東京都足立区)のスタッフが東京東部地域(足立区、荒川区、墨田区、江東区、江戸川区、葛飾区、台東区)の110病院にアンケート調査を行い、回答があった23病院の数値を集計したものだ。

この調査から読み取れるように、東京東部地域の民間病院では看護師不足のみならず、不足を理由とした病棟の閉鎖、入院受け入れの縮小、診療報酬のダウンが顕著だ。そしてアンケート調査結果が公表された9月30日のシンポジウムでは、出席した医療関係者の多くが看護師確保の厳しさを報告した。

年間約6000人の救急患者を受け入れている白鬚橋病院(石原哲院長、199床)も、看護師不足で1病棟(40床)を丸ごと閉鎖せざるをえない事態に一時追い込まれていた。新看護基準が導入された06年4月のことだ。その後、看護師の新規採用を図ることで休床数を減らしていき、10月1日からは14床を新たにオープン。冬場のインフルエンザ流行での入院患者の増加に備える態勢を準備した。

しかしその反面、看護配置基準は9月末までの13対1から、15対1へ低下を余儀なくされた。というのも「看護職に占める正看護師の比率が13対1の算定に必要な7割に届かなかったため、准看護師を含めたスタッフ数は十分ながらも、入院基本料のランクは低報酬の15対1基準を算定せざるをえなかった」(石原院長)からだ。

看護師確保に希望の光がないわけではない。

多くの病院が看護師不足に苦しむ中で、今年1月から9月までに40人の看護師採用を実現したのが、足立区の東京北部病院(河一京院長、138床)だ。足立区の西部に位置する同病院は、急性期78床、慢性期60床からなる典型的な中小病院で、心臓カテーテル手術など循環器科を得意としている。1年半前に経営母体が変更しており、経営の安定化に向けて、常勤医師や看護師の確保に力を入れている。特に看護師対策については、特筆すべきものがある。

24時間の託児所を開設 増員にこぎ着けた病院も

同病院の五十嵐里香看護部長は、06年3月の赴任時に、当時閉鎖中だった2階病棟(30床)の再稼働を病院の目標として掲げることを進言。その後、経営者の決断により、24時間稼働の託児所開設を実現。看護部では復職支援セミナーの頻繁な開催で働きやすい職場をアピールするとともに、紹介業者経由での看護師の採用も積極的に進めていった。

東京北部病院はこれまでにも家賃が低額の看護師寮を設けたり、駐車料金の半額補助、実務経験を100%勘案した基本給など、「看護師が働きやすい職場づくり」(五十嵐部長)を前面に掲げてきた。

そうした姿勢が紹介業者を通じて求職中の看護師の間で認知されてきたこともあり、「看護師の増員が軌道に乗ってきている」(五十嵐部長)という。

そして今後はさらに10名の採用が実現すれば、すべての病棟において、「10対1基準が取得できる」と五十嵐部長は語る。これは、13対1が一般的な中小病院では画期的であり、看護のレベル引き上げにも大きく寄与するに違いない。

東京北部病院の取り組みには、地域医療の危機の中で懸命に生き残りを図る中小病院関係者の知恵が凝縮されている。待遇改善の取り組みは、ほかの民間病院にも一石を投じる可能性がある。看護師不足の実情を世の中に訴えていくとともに、看護師が働きやすい現場へいかに改善していくか、医療関係者の努力が試されている。

(出典:週刊東洋経済)

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