やりがいある仕事を、市場原理のなかで実現する
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「カネ儲けのために働くのではなくて、もっと社会的な意義を感じられる仕事をしたい」「社会的な弱者を救ったり、地域を盛り上げるような、やりがいのある仕事がしたい」――。学生からも、20代30代のサラリーマンからも、よく聞く話だ。だが、こう続く。「でも、そういう仕事は政府や国際機関がやるものだし、NPOや市民団体ではろくに食べていけないし、老後も不安だし…」
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【Digest】
◇やりがいある仕事を、市場原理のなかで実現する時代
◇小規模での成功は不可能ではない
◇やりがいとカネ儲けの二者択一ではない
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◇やりがいある仕事を、市場原理のなかで実現する時代
そして結局、志は胸の奥にしまって、「株主に高い配当を出すこと」を第一の目的とする株式会社の歯車の1つに組み込まれてゆき、定年後にボランティア活動に参加する日々を夢見ながら、40年近くも満員電車を通勤するはめになる。
だが、そんな消化不良な人生はやめたほうがいい。時間の無駄だ。
民間企業が私的利益追求のために自由競争し、その結果として発生する格差、貧困、人権、環境問題などを解決する仕事は政府やNGOの役割だ、なぜなら、そういった公共性の高い仕事は民間でやっても、儲かるはずがないのだから――。これは全体で見れば嘘ではないし、だからこそ政府が再配分するわけだが、民間で実現できる部分も相当ある。
実際、ノーベル平和賞を2006年に受賞したムハマド・ユヌス氏が創設した「グラミン銀行」は、バングラデシュの農村部貧困層を主な対象として低金利の無担保融資を行い、民間の立場から約30年間、貧困問題の解決を推進してきた。今では株式の9割超を借り手自身が所有しているという。
「私は、あれにノーベル平和賞を与えるのはおかしい、と言っている。その心は、むしろノーベル“経済学賞”のほうがふさわしい、ということだ」。経営コンサルタントの大前研一氏が自身の番組内でそう述べていたのを聞いて、まさにその通りだと思った。
無担保を実現したのは「顧客5人による互助グループ化」「翌週から返し始める」「借りた人は、毎週行われる集会に必ず出席する」といった、不良債権化を防ぐ独自のビジネスモデル作りの成果であり、「貧しい人には信用などなく、貸せるはずがない」といった従来の常識をブレイクスルーした点で、経済・経営分野での功績である。
経営者が知恵を働かせ、秀逸なビジネスモデルを作れれば、民間企業でも貧困問題解決に役立つ活動ができることを証明したのだ。グラミン銀行方式は、ODA(政府開発援助)よりも、よほど効率よく問題解決に役立っている。
同じバングラデシュで言えば、日本の「マザーハウス」という会社も、従来の「施し」型の援助や寄付が必ずしも末端の人々に届かない現実を知った山口絵理子氏が、現地特産の麻の一種「ジュート」を使ったバックを現地生産して日本で販売するビジネスにより、民間企業の立場から国際貢献を実践し、日本国内に直営店を続々オープンしている。
◇小規模での成功は不可能ではない
一見、儲かりそうでない事業分野でも、確固たる動機を持ち、精巧なビジネスモデルのもとで粘り強くやりとおせば、勝算はある。私自身、自らニュースサイト「MyNewsJapan」を設立し軌道に乗せていくなかで、そう感じている。MyNewsJapanが売る「ジャーナリズム」という商品の社会的な役割は「権力の監視」だ。要するに「社会的には重要なことだけれど、商業的には儲からなさそうなもの」の典型と言ってよい。
ジャーナリズムは、儲からないのが定説だった。『朝日ジャーナル』は休刊し・・・・・。
(出典:MyNewsJapan)
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