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認知症は最も罹りたくない病気ですが、よい治療法はまだないので
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東京大の大武美保子准教授(サービス工学)は、千葉県柏市で認知症予防に取り組んでいる。平均年齢70歳の市民研究員14人と、NPO「ほのぼの研究所」を今年7月に設立。大武さんが開発した「共想法」という手法を使って、認知症予防の研究と、普及を行う。
「受付は込んでいて盛況でしたね」「案内用の矢印が工夫され、分かりやすかった」。地域交流センターに集まった研究員たちが、NPO設立の記念集会の写真を見ながら発表を始めた。一見普通の反省会のようだが、これも共想法の一環だ。
共想法では、「好きなおやつ」「趣味」などのテーマを決めて写真を持ち寄り、聞き手と話し手が交代しながらグループで会話する。週1回4週間続け、5週目にこれまでの写真を見せて、誰がどんなテーマで話したか、思い出せるか測定する。
大武さんは、認知症の祖母と接した経験から、写真を手がかりにすると会話が弾み、記憶が呼び覚まされることに注目。新たな認知症予防法として発展させた。
認知症予防には、出来事を時系列で覚える「エピソード記憶」と、複数の事柄に注意を配る「注意分割力」、計画を立てる「計画力」の三つの認知機能を刺激する活動が有効とされる。共想法は、自分の体験をテーマに話題を計画し、複数の聞き手に注意を向けることで、この三つを効果的に使えるように工夫した。
予防効果は検証中だが、写真を用いることでコミュニケーションが活発になる効果は明らかだ。
研究所自体は、NPOとなる1年前から活動しており、これまでに約100人の市民が共想法に参加した。NPO副代表理事を務める最高齢の長谷川多度(よしのり)さん(84)は「共想法はまだ新しく、ベンチャー企業を担うような気持ち。みんなが適材適所で能力を発揮し、活動に充実感がある」と元気いっぱい。3年前にくも膜下出血で倒れ、認知症に不安を感じて参加した田口良江さん(70)も「退院直後は人前に出るだけで不安だったのに、研究所で発表したり講座の手伝いをするうち、少しずつ積極的になれた」と話す。
大武さんは「市民と一緒に研究を根付かせて、高齢者も安心して暮らせる街づくりに貢献したい」と意気込んでいる。
(出典:読売新聞)
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