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医療用の禁煙補助薬が来年1月にも安定供給される見通しとなった。供給不足から医療機関の禁煙外来が新規患者の受け入れを見合わせ、“禁煙難民”が生まれる事態が続いていただけに、たばこを辞めたいと考える人にとっては朗報といえる。10月の値上げ後に禁煙に失敗した人の8割が「年末年始に再挑戦したい」と答えたアンケートもあり、この年末年始は禁煙の好機となりそうだ。
■「例年の3倍」
「吸わなくてもイライラしなくなってきた」。10月13日に東京・人形町の中央内科クリニックの禁煙外来を受診してから2カ月が過ぎ、近所の男性会社員(53)は手応えを感じていた。一日に20本ぐらい吸っていたが、値上げを禁煙のきっかけにしたかった。
担当医の村松弘康副院長がたばこの煙に含まれる発がん性物質などが及ぼす健康被害などを説明。たばこが吸える飲食店は避けるなどの生活指導も行った。男性に貼り薬「ニコチネルTTS」を処方した。
日本禁煙学会は数年間は年間100万人程度だった禁煙挑戦者数が、今年は値上げなどから300万人に達すると予測している。
■継続の患者優先
「毎日のように問い合わせの電話があるが、薬が足りない状況で患者を受け入れきれない」
沖縄市知花の「ちばなクリニック」の看護師長は11月下旬、ため息をついていた。同クリニックの受診者は8月は約70人だったが、9月は約90人に。10月も増加傾向は続いた。
禁煙外来で主流の飲み薬「チャンピックス」は8月まで毎月約7万人分を出荷したが、10月は6日時点で約8万人分に。販売する製薬会社「ファイザー」は供給が追いつかず、新規患者向けへの出荷を停止。ニコチネルTTSも品薄になり、販売する製薬会社「ノバルティスファーマ」は医療機関に治療継続中の患者を優先するよう要請した。
こうした要請を受け、全国の禁煙外来で薬を希望する新規患者の受け入れを見合わせる動きが広がった。
■6割が失敗
医療用品大手の「ジョンソン・エンド・ジョンソン」が11月中旬に行ったアンケートによると、値上げ後に禁煙にチャレンジした人のうち53・2%が禁煙グッズや禁煙外来を利用していない。だが全体の57%が禁煙に失敗し、このうち80%が年末年始に再チャレンジしようと考えている。
こうした状況の中、ノバルティス社は今月13日から安定的な供給を開始。ファイザーも1月初旬から新規患者向けの出荷を再開する見通しが立ったとして、今月上旬に禁煙外来への通知を始めたという。
日本禁煙学会の作田学理事長は「年末年始は禁煙を目指すとされるシーズンで、専門家の指導のもとでぜひ禁煙を成功させてほしい」としている。
(出典:産経新聞)
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