2009年6月5日金曜日

米国の予防接種制度と日本への導入が望まれるワクチン

いつもありがとうございます。
ツイてる抗加齢(アンチエイジング)実践家てるです。
毎日毎日毎日、多くのステキなことがあり、感謝しています。


日本は国民の健康より優先していることが多く、世界保健機関(WHO)の
勧告・推奨も平気で無視することが散見される先進国として珍しい国ですが、
米国の3大優先政策は外交、軍事、国民の健康で日本とは大違いです。

そんなことから医療分野も遅れが散見され、この予防接種政策も一つです。
このニュースにはでていませんが、はしかもその一つで世界から
はしか流行国・輸出国と非難され続け、やっと重い腰をあげて先進国では
常識の予防接種を2回することが06年度から始まりましたが、実施率は
低迷しています。
長期間無視・放置したツケで、免疫のない母親、新生児が激増しているそうです。


治療医学以上に遅れが著しいのは予防医学で、国民は病気になったら
健康保険治療で治ると医療に過剰期待をしているのか、現実に気づかないのか、
病気予防にも関心も薄いこともあるのでしょう。

そんなことから健康に経費や時間をかけても健康状態は悪化の一途です。


私のライフワーク:人生3大不安の健康、経済、孤独を解消するお手伝い。
私が発明しているのは、「人類を救う宇宙人」であるという可能性です。


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米国においては、予防接種スケジュールが常に更新され、推奨されるワクチン数は、増加の傾向にある。そのきっかけとなったのが、1988年のインフルエンザ菌b型(Hib)ワクチンの導入で、そのワクチンの劇的な効果・安全性が、その後の多くの新しいワクチンの導入に弾みをつけた。ここでは、現在の米国の予防接種スケジュールを紹介し、日本のスケジュールとの比較を試みたい。

表1は、米国において0-6歳児に推奨されている予防接種スケジュールである。計10のワクチンが健康な小児に推奨されている。日本では、それぞれのワクチンが定期接種(予防接種法に定められ、費用はすべて地方自治体が負担)と任意接種(費用は自己負担、地方自治体によって助成あり)に分けられているが、米国では、すべてのワクチンが国から推奨されており、その費用負担は非常に限られたものである。ワクチン接種率を上げるためにも、患者の費用面での負担が少ないことは非常に重要である。

表1 米国において0-6歳児に推奨されている予防接種スケジュール

米国0-6歳児推奨予防接種スケジュール.gif

米国と日本の予防接種スケジュールを比較すると、日本で定期接種、任意接種に定められていないものが、ロタウイルス、7価結合型肺炎球菌(23価多糖体ワクチンは任意接種)、不活化ポリオ(経口ポリオは定期接種)の3つである。日本では任意接種として規定されているものが、B型肝炎、Hib、インフルエンザ、流行性耳下腺炎、水痘、A型肝炎の計6つの予防接種である。BCGは、米国では推奨されていない。一方で、2007年より、11-12歳児に新しい3つのワクチンの接種が開始された。それらは、百日咳予防の3種混合(Tdap)、ヒトパピローマウイルス、髄膜炎菌である(表2)。

表2 米国において7-18歳に推奨されている予防接種スケジュール

米国7-18歳推奨予防接種スケジュール.gif

ここで示したように、米国では日本に比べ、推奨されているワクチンの数が圧倒的に多いわけであるが、米国でこの近年始まったワクチンの中で、今後日本にも導入が予想され、これらの疾患の予防に大きな役割を果たすと考えられるワクチンについて、簡単に解説を加えたいと思う。

7価結合型肺炎球菌ワクチン(7-valent pneumococcal conjugated vaccine:PCV7、 Prevnar(R))
肺炎球菌は、小児の菌血症の9割、髄膜炎の8割を占める起因菌である。PCV7は、ペニシリン耐性の確率が高く、小児において重症化しやすい4、6B、9V、14、18C、19F、23Fの計7つの血清型をカバーする不活化ワクチンで、接種時期は、2、4、6、12-15か月の計4回接種である。導入後これまで、小児の肺炎球菌による重症感染症の予防に大きな効果を挙げてきた。

肺炎球菌は、全部で70以上の血清型が知られている。このワクチンによって7つの血清型による重症感染症は著しく減少した一方で、ワクチンでカバーされていない血清型(19Aなど)が重症感染症、髄膜炎を引き起こし、その頻度が増加していることが報告されている。今後、日本での導入にあたっては、それらの血清型を含めた新しいワクチン(13価結合型肺炎球菌ワクチンなど)の導入を期待したい。

不活化ポリオワクチン (inactivated polio vaccine: IPV、 IPOL(R))
経口ポリオワクチン(OPV)は、生ワクチンであり、米国において約75万人に1人の割合でワクチンによるポリオが発症する。これを防ぐために、そのまれな副作用を起こさず、しかもOPVと同等の効果を持つ不活化ワクチンであるIPVが米国では推奨されている。生後2、4、6-18か月、そして4-6歳の計4回の接種が推奨されている。副作用の発現をなくし、世界のポリオ根絶に貢献するためにも、IPVへの変更が望まれる。

ロタウイルスワクチン(rotavirus vaccine、 RotaTeq(R)、 Rotarix(R))
ロタウイルスワクチンは、2、4、6か月に計3回経口摂取する生ワクチンである。全世界で年間約1億人以上の子どもが罹患しているといわれるロタウイルス感染症に対して、その期待は大きい。今後、このワクチンが導入されることによって、先進国では入院患者の減少、発展途上国では、脱水による死亡率の減少、予後の改善に役立つことを期待したい。

百日咳予防の3種混合ワクチン(tetanus、 diphtheria、 acellular pertussis:Tdap、 Adacel(R))
これまでの3種混合ワクチンに比べ、百日咳の予防により重点をおいた不活化ワクチンで、11-12歳に1回接種し、その後10年おきに1回接種する。

これは、以前まで推奨されていたdT(破傷風トキソイド)ワクチンに代わるものである。最近問題となっている若年層の百日咳患者の増加、抗体価の減少に基づき、その年代にブースターのワクチンを接種することによって、百日咳のHerd Immunity(社会全体の免疫獲得)を確立し、最終的に新生児、乳児への感染を低下させることを目標としている。

ヒトパピローマウイルスワクチン(human papilloma virus vaccine: HPV、 Gardasil(R))
子宮頸癌、ウイルス疣贅の原因となるヒトパピローマウイルスに対する不活化ワクチンである。11-12歳児より3回の接種が必要で、初回接種の2か月後、そして6か月後に再接種する。6、11、16、18の計4つの血清型に対するワクチンで、16と18は子宮頸癌の約70%を占め、6と11はウイルス疣贅の約90%を占める。特に子宮頸癌の予防に期待が寄せられている。

このワクチンは、成人期の癌を予防できるという極めて有用なワクチンで、欧米諸国で次々と推奨され始めているが、その開始時期、接種対象(男性を含めるかなど)など、解決しなくてはいけない課題も多い。

これらのワクチンが日本国内でも早期に導入され、VPDの予防に役立つことを期待したい。

齋藤 昭彦(国立成育医療センター 第一専門診療部感染症科医長)

(出典:週刊医学界新聞)

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